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Japanese Living Bible Old Testament 2 Samuel
王国成立記 下(サムエル記Ⅱ)
本書は、大部分が、およそ四十年にわたるダビデの統治について記されています。 ダビ
デ王の即位に始まり、王位を主張する他の人々に対して確固とした地位を築いていくさま
や、エルサレムに首都を移し、契約の箱を運び込み、ついにはペリシテ人を打ち破ること
などが、主な内容です。 息子アブシャロムにまつわる家族の問題や、バテ・シェバとの
姦淫という個人的な問題を含めて、ダビデの生涯の暗い面についても、くわしく描かれて
います。
12サウルは死に、ダビデはアマレク人を打ち破って、ツィケラグに引き揚げて来ました。
その三日後、イスラエル軍から一人の男がやって来ました。 男は、破れた服をまとい、
頭にちりをかぶっていて、ひと目で喪中にあるとわかります。 彼はダビデの前に出ると、
深い敬意を表わして地にひれ伏したのです。
3 「どこから来たのだ。」
「イスラエルの陣営からまいりました。」
4 「何かあったのか。 戦いの様子はどうなんだ。」 ダビデは急き込んで尋ねました。
「イスラエル全軍は散り散りです。 何千という兵士が死に、また負傷して、野原に倒れ
ています。 サウル王も、ヨナタン王子も殺されました。」
5 「王とヨナタンが死んだって! どうしてわかったのだ。」
6 「私はギルボア山におりましたが、槍にすがってようやく立っている王様めがけて、
敵の戦車が突き進むのを見たのです。 7王様は私を見るなり、こっちへ来いと叫ばれま
した。 急いでおそばに駆け寄りますと、
8 『おまえはだれか』とお尋ねになります。
『アマレク人でございます』とお答えしましたところ、
9 『さあ、わしを殺せ。 この苦しみから救ってくれ。 虫の息で生き長らえるなんて、
まっぴらだ』とおっしゃるのです。
10 そこで私は、もう時間の問題だ、と察したものですから、あの方を殺しました。 あ
の方の王冠と腕輪の一つを持ってまいりました。」
11 この知らせを聞いて、ダビデと家来たちは悲しみのあまり、めいめい衣服を引き裂
きました。 12彼らは、死んだサウル王とその子ヨナタン、それに、神様の国民と、そ
の日いのちを落としたイスラエル人のために喪に服し、泣きながら、まる一日断食したの
です。
13 ダビデは、王の死を告げた若者に言いました。
「おまえはどこの者だ。」
「アマレク人でございます。」
14 「どうして、神様に選ばれた王を手にかけた」と、ダビデは詰め寄りました。
15 そして配下の若者の一人に、「こいつを殺せ!」と命じたのです。 若者は剣を振り
かざして走り寄り、そのアマレク人の首を打ち落としました。
16 ダビデは言いました。 「自業自得だ。 自分の口で、神様がお立てになった王を
殺した、と証言しおったのだからな。」
1718ダビデは、サウル王とヨナタンにささげる哀悼の歌を作り、のちに、これがイス
ラエル中で歌い継がれるように、と指示しました。『英雄詩』に載ったその詩を、次に紹介
しましょう。
19 「ああ、イスラエル。
おまえの誇りと喜びは、しかばねとなって丘に横たわる。
大いなる英雄たちは倒れた。
20 ペリシテ人には告げるな。 喜ばせてなるものか。
ガテとアシュケロンの町にも極秘だ。
神様を知らない連中を勝ち誇らせてなるものか。
21 ギルボアの山よ、
露も降りるな。 雨も降るな。
いけにえのささげられた野にも。
偉大なサウル王が倒れた地だから。
ああ、その盾は油も塗られず打ち捨てられた。
22 最強の敵を打ち殺したサウル王とヨナタンは
空手で戦場から引き揚げたりはしなかった。
23 ああ、サウルもヨナタンもどれほど愛され、
どれほどすぐれた人物であったことか。
生死を共にした彼ら。
鷲よりも速く、ライオンよりも強かった。
24 さあ、イスラエルの女よ、サウル王のために泣け。
王はおまえたちを惜しげもなく着飾らせ、
金の飾りをまとわせてくれた。
25 その偉大な英雄が、戦いの最中に倒れたのだ。
ヨナタンは山の上で殺された。
26 わが兄弟ヨナタン。
おまえのために、どれほど涙を流したことか。
おまえをどれほど愛していたことか!
おまえの私への愛は、女の愛も及ばなかった!
27 ああ、勇士たちは倒れ、
武器は奪い去られた。」
1 その後、ダビデは神様に、「ユダに戻るべきでしょうか」と、うかがいを立てました。
すると、「そうせよ」とのお答えです。
「どの町へ行けばよろしいでしょうか。」
「ヘブロンへ。」
23そこで、ダビデと二人の妻、および家来とその家族全員は、そろってヘブロンに移り
ました。 二人の妻というのはイズレエル出身のアヒノアムと、カルメル出身のナバルの
未亡人アビガイルでした。4すると、ユダの指導者たちが集まって、ダビデをユダの王に
しました。
ダビデは、ヤベシュ・ギルアデの人々がサウル王を葬ったと聞いて、 5さっそく使者を
立てました。 「主君に忠誠を尽くし、丁重に葬ってくれたあなたがたに、神様の豊かな
祝福があるように。 6どうか、神様が真実をもって報いてくださり、その恵みと愛を表
わしてくださるように! 私からも礼を言おう。 感謝のしるしに、できるだけのことを
しよう。 7そこでお願いだが、サウル王亡き今、私のもとで、忠実でりっぱな兵士とし
て励んでくれまいか。 私を王に立ててくれたユダ部族のようであってほしいのだ。」
8 さて、サウルの最高司令官であったアブネルは、サウルの息子イシュ・ボシェテを王
位につかせようと、マハナイムに移り住んでいました。 9その支配は、ギルアデ、アシ
ュル、イズレエルをはじめ、エフライムやベニヤミンの部族、その他の全イスラエルに及
んでいました。 1011イシュ・ボシェテは四十歳で王位につき、二年間、マハナイム
で治めました。 一方ダビデは、ユダの王として、七年半にわたり、ヘブロンで君臨して
いたのです。
12 ある日、アブネル将軍は、イシュ・ボシェテの軍隊の一部を率いて、マハナイムか
らギブオンに向かっていました。 13一方、ツェルヤの息子、ヨアブ将軍も、ダビデの
一隊を率いてギブオンに出向きました。 両者はギブオンの池のほとりで出会い、池をは
さんで向かい合ったのです。 14アブネルはヨアブに提案しました。「若い者同士で、
剣の腕を競わせようではないか。」
ヨアブも異存はありません。 15さっそく十二人ずつの兵士が選ばれ、死闘を演じるこ
とになりました。 16互いが敵の髪の毛をつかんでは、相手のわき腹に剣を突き刺し、
結局、全員が死んだのです。 以来、ここはヘルカテ・ハツリム〔剣が原〕と呼ばれるよ
うになりました。
17 これが口火となって両軍は戦闘状態に陥り、その日のうちに、アブネルとイスラエ
ル軍は、ヨアブの率いるダビデ軍の手でさんざんな目に会いました。 18ヨアブの兄弟
アビシャイとアサエルも、戦いに参加していました。 かもしかのように素早く駆けるア
サエルが、 19逃げるアブネルを追いかけました。 ほかのものには目もくれず、ひと
り逃げるアブネルを、一心不乱に追い続けました。
20 アブネルは振り向きざま、追いかけて来る敵を見て、「アサエルではないか」と呼び
かけました。
「そうだ。」
21 「ほかのやつを追え!」と、いくらアブネルが言っても、アサエルは耳を貸さず、
なおも追撃の手をゆるめません。
22 もう一度、アブネルは叫びました。 「あっちへ行け。 もしおまえを殺すことに
でもなれば、おまえの兄ヨアブに顔向けができんわい!」
23 それでも、向きを変えようとしません。 とうとうアブネルは、槍の石突きをアサ
エルの下腹部に突き刺しました。 なんと、槍は背中まで刺し貫いたではありませんか。
アサエルはばったり倒れ、息絶えました。 彼が死んでいる有様を見た者はみな、かたず
を呑んで見守りました。
24 今や、ヨアブとアビシャイがアブネルを追う番です。 ギブオンの荒野の道沿いに
あるギアハの近くのアマの丘まで来た時、ちょうど太陽が沈み始めました。 25ベニヤ
ミン部族から召集されたアブネルの一隊は、丘の上で隊を整えていました。 26アブネ
ルは、ふもとのヨアブに向かって叫びました。 「いつまでも殺し合いを続けてはいられ
ん。 いつになったら、同胞同士で争うのをやめさせるつもりだ。」
27 ヨアブは答えました。 「神様に誓うが、もしおまえがそう言ってくれなければ、
われわれはみな、あすの朝まで引き返しはしなかっただろう。」 28ヨアブがラッパを吹
くと、兵士たちはイスラエル軍の追跡をぴたっとやめました。
29 その夜、アブネルと兵士たちは、ヨルダン渓谷づたいに退却し、ヨルダン川を渡り、
翌朝まで歩き続けて、ようやくマハナイムに帰り着きました。 30ヨアブの一隊も、そ
れぞれ帰りました。 死傷者を数えてみると、欠けたのは兵士十九人とアサエルだけでし
た。 31一方、全員がベニヤミン部族であったアブネル側では、戦死者は三百六十人に
のぼりました。 32ヨアブの一隊は、アサエルの死体をベツレヘムへ運び、父親のかた
わらに葬りました。 それから夜通し歩いて、夜明けごろ、ヘブロンに着いたのです。
1 これが、サウル家とダビデ家との長い戦いの始まりでした。 ダビデがますます権力
を増していくのに反して、サウル王家は衰えていきました。
2 ダビデは、ヘブロン生活の間に、息子を数人もうけました。 長男のアムノンは、妻
アヒノアムから生まれました。 3次男のキルアブは、カルメル人ナバルの未亡人だった
アビガイルから生まれました。 三男アブシャロムの母親は、ゲシュルの王タルマイの娘
マアカでした。4四男アドニヤはハギテから、五男シェファテヤはアビタルから、5六男
のイテレアムはエグラから生まれました。
6 戦争状態の中、アブネルはサウル家で、押しも押されぬ政治的指導者にのし上がって
いきました。 7その地位を利用して、サウル王のそばめの一人だったリツパという娘と、
関係をもつようにもなりました。 そのことでイシュ・ボシェテから責められると、 8
アブネルはひどく腹を立てました。
「たかがこれくらいのことで、文句を言われなきゃならんユダの犬なんですかね。 だれ
のおかげで、ダビデに売り渡されずにすんだんです? あなたのため、お父上のため、ど
れほど、この私が尽くしてきたことか。 それがどうです。 あの女のことで難くせをつ
けて、恩を仇で返すおつもりとは……。 910覚えておいてください。 神様のお告げ
どおり、ダンからベエル・シェバに至る全王国を、あなたから取り上げて、ダビデにやり
ますよ。 もしできなかったら、この首を差し上げましょう。」
11 イシュ・ボシェテは返すことばもありません。 アブネルを恐れたからです。
12 アブネルはダビデに使者を立て、次の件を申し入れました。 イスラエル王国を引
き渡すのと交換に、自分を、イスラエルとユダの連合軍の最高司令官にしてほしいという
のです。
13 ダビデは答えました。 「よかろう。 ただし、わしの妻である、サウル王の娘ミ
カルを連れて来い。 それが条件だ。」 14それからダビデは、使者を立て、イシュ・ボ
シェテに申し入れました。 「私の妻ミカルを返してください。 ペリシテ人百人のいの
ちと引き替えにめとった妻です。」
15 それでイシュ・ボシェテは、ミカルをその夫、ライシュの子パルティエルから取り
返しました。 16パルティエルはバフリムまで、泣き泣きあとを追って来ましたが、ア
ブネルに「もう帰れ」と言われて、すごすご引き返して行きました。
17 その間、アブネルはイスラエルの指導者たちと協議し、一同が長年ダビデの支配を
望んでいたことを、確かめました。
18 「今こそ、時がきたのだ! 神様が、『わたしはダビデによって、わたしの国民をペ
リシテ人から、また、すべての敵から救い出そう』とおっしゃったではないか。」 アブネ
ルはきっぱり宣言しました。
19 アブネルはまた、ベニヤミン部族の指導者たちとも話し合いました。 それからヘ
ブロンへ行き、イスラエルおよびベニヤミンの人々との会見の経過を、ダビデに報告した
のです。 20二十人の部下を率いたアブネルを、ダビデは祝宴を張ってもてなしました。
21 アブネルはダビデのもとを辞する時、こう約束しました。 「帰りしだい、全イス
ラエルを召集いたします。 多年のお望みがかないますぞ。 全国民はきっと、あなた様
を王に選ぶでしょうからな。」ダビデはアブネルを無事に送り出したのです。
22 ちょうど入れ違いに、ヨアブとダビデ軍の兵士たちが、戦利品をどっさりかかえて、
奇襲攻撃から戻って来ました。 23ダビデ王のもとを訪れたアブネルとの話し合いが、
極めて友好的だったと聞くと、 2425ヨアブは王のもとへ飛んで行きました。 「あ
んまりではございませんか。 アブネルをむざむざお帰しになるなど、もってのほかです
よ。 あいつの魂胆はご存じでしょう。 われわれを攻めるために、動静を探りに来たに
決まっております!」
26 ヨアブは直ちにアブネルを追わせ、連れ戻すようにと命じたのです。 追手はシラ
の井戸あたりで追いつき、いっしょに引き返しました。 ただし、ダビデはこのことを知
りませんでした。 27ヘブロンに着いたアブネルを、ヨアブは個人的な話があるように
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